困っている人を見ると、放っておけない。
頼られると少し嬉しくて、「自分がやった方が早い」「少しくらいなら大丈夫」と引き受けてしまう。
けれど、その「少しくらい」が重なると、自分の仕事や休憩、やりたかったことが後ろへ追いやられていきます。
助けたのは自分なのに、あとからモヤモヤする。
感謝されないと、思った以上に腹が立つ。
疲れていても、「自分で引き受けたのだから」と誰にも言えない。
そんな経験はないでしょうか。
私は職場で、休憩を削って人の仕事を手伝うことがありました。家では家族を優先し、好きだった2時間の映画を観ることもやめていました。
人の役に立てた喜びは、今もあります。だから、「もう誰も助けない」と決めたいわけではありません。
考えたいのは、人を大切にしながら、自分まで消さない引き受け方です。
この記事では、頼まれたときに確認したい4つの判断基準と、自分のために10分だけ残す方法を紹介します。
なぜ自分を後回しにしてしまうのか
自分を後回しにしてしまう背景には、人の役に立ちたい気持ちや、周囲を困らせたくない思いがあります。
自分を大切にする気持ちがないのではなく、自分より先に守りたいものがあるのだと思います。
人の役に立つことが嬉しいから
頼られたときに、「自分が必要とされている」と感じることがあります。
感謝されれば嬉しいですし、困っている人の力になれたことに満足することもあります。
問題は、その喜びと「自分が我慢すればいい」という考えが重なることです。
休憩を取らなくてもいい。
自分の仕事が遅れても、あとで頑張ればいい。
やりたいことは、また今度にすればいい。
そうやって自分を納得させているうちに、無理をしていることにも気づきにくくなります。
自分から助けたのにモヤモヤする
私は職場で、困っている人を放っておけず、自分から手伝うことがありました。
頼まれていないのに動いた場面もあります。自分で選んだのだから、納得しているつもりでした。
しかし、休憩を削ってまで手伝ったことを当然のように受け取られると、モヤモヤが残りました。
「自分から手伝ったのに、こんなことを思うのはおかしいのではないか」
そう考えると、相手だけでなく、自分のことまで嫌になってしまいます。
けれど、モヤモヤは性格の悪さを示すものではありません。自分の余裕を確認しないまま引き受けていることを、知らせている場合があります。
自分の時間を取ることに罪悪感がある
仕事や家族を優先していると、自分の時間を取ることがわがままに感じられることがあります。
家族が動いているのに、自分だけ休んでよいのだろうか。
誰かが困っているのに、趣味を優先してよいのだろうか。
自分のために時間を使うなら、ほかのことをした方がよいのではないか。
このように考えていると、時間ができても心から休めません。
私も子育て中に、2時間の映画を観ることへ難しさを感じ、やがて観ること自体をやめました。
家族を大切にしたかったのは本当です。ただ、自分の好きなことをすべて諦める以外にも、選択肢はあったと思います。
自分を後回しにしている3つのサイン

自分を後回しにすることが続くと、無理をしている状態が当たり前になっていきます。
次の3つに心当たりがないか、確認してみてください。
● 人を助けたあと、必要以上に疲れている
● 好きなことをする時間がほとんど残っていない
● 感謝されないと、強いモヤモヤが残る
一つでも当てはまるなら、「今の引き受け方を続けても大丈夫だろうか」と立ち止まるタイミングです。
すべての頼みを断る必要はありません。まずは、頼まれたときに反射で答えず、自分の状態も確認してみてください。
頼まれごとだけでなく、やることの多さで余裕を失っている場合は、先に頭の中のやることを整理する方法が役立ちます。
引き受ける前に見る4つの判断基準

頼まれると、考えるより先に「大丈夫です」と答えてしまう人もいると思います。
その場で判断できないときは、「少し確認します」と返事を待ってもらって構いません。
そのうえで、次の4つを確認します。
1.自分は心身ともに疲れていないか
最初に見るのは、今の自分に余裕があるかどうかです。
体が重い。
イライラしやすくなっている。
休憩を取れていない。
自分の仕事だけでも精いっぱいになっている。
このような状態でさらに引き受けると、家族や身近な人に余裕のなさを向けてしまうことがあります。
疲れているときに「今は引き受けない」と判断するのは、冷たいことではありません。自分の限界を無視しないための判断です。
2.自分の仕事や家庭に支障が出ないか
誰かを助けた結果、自分の仕事が遅れたり、家庭で何もできないほど疲れたりするなら、引き受ける範囲を見直す必要があります。
その場では何とかなっても、帰宅後の家事や家族との時間、翌日の体調に影響が出ることもあります。
頼まれた作業だけでなく、助けたあとの自分まで想像してみてください。
無理なく続けられる範囲かどうかも、大切な判断基準です。
3.相手も自分で動こうとしているか
困っている人を助けることと、その人がすべきことをすべて代わりに引き受けることは違います。
相手も自分で動こうとしているのか。
できない部分だけ助けを求めているのか。
最初から誰かに任せようとしていないか。
ここを確認せずに引き受け続けると、同じ相手から繰り返し頼られることがあります。
すべてを代わりに行わず、相手が自分でできる部分を残すことも、助け方の一つです。
4.感謝されなくても自分は納得できるか
私は、感謝されるかどうかよりも、「この選択に自分が納得できるか」を考えるようになりました。
感謝されなくても、助けてよかったと思えるか。
自分で選んだ行動として受け止められるか。
無理をしてまで「よい人」でいようとしていないか。
感謝されなければ強くモヤモヤしそうなときは、すでに自分の中に無理や期待があるのかもしれません。
それは、心が狭いからではありません。今の自分には、気持ちよく引き受けられる余裕がないということです。
断るのが難しいときは、助ける範囲を決める
頼みごとへの答えは、「すべて引き受ける」か「完全に断る」かの二択ではありません。
例えば、次のような伝え方があります。
● 「今は手が離せないので、○時からならできます」
● 「すべては難しいですが、ここまでなら手伝えます」
● 「今日は余裕がないので、別の人にも相談してもらえますか」
助ける時間や範囲を決めれば、人を突き放さずに自分の負担を減らせます。
目指すのは、自分だけを優先することではありません。反射的に引き受けるのではなく、今の自分にできることを選ぶことです。
今日10分だけ自分を残す3つの手順

自分を後回しにしてきた人が、いきなり何時間もの自由時間を作るのは簡単ではありません。
まずは、自分のために10分だけ残してみてください。
1.自分を後回しにした場面を一つ書く
今日、誰かを優先して、自分のことを後回しにした場面を一つ思い出します。
「また断れなかった」と反省するためではありません。どのような場面で自分を後回しにしやすいのかを知るためです。
2.本当は何をしたかったのか確認する
その場面で、本当はどうしたかったのかを考えます。
ゆっくり昼食を取りたかった。
一人でコーヒーを飲みたかった。
本を読みたかった。
絵を描きたかった。
映画やアニメを観たかった。
立派な目標である必要はありません。「自分にも、したいことがあった」と認めることが大切です。
3.したかったことに10分だけ使う
最後に、したかったことのために10分だけ確保します。
本を数ページ読む、絵を少し描く、アニメを途中まで観るだけでも構いません。
私は、2時間の映画を観ることが難しくなったあと、まず20〜30分ほどのアニメを観るところから戻しました。そこから少しずつ、映画を観る時間も取るようになりました。
大切なのは、10分で何かを完成させることではありません。
「自分がしたかったことのために、時間を使えた」と感じられることです。
自分の望みに合わせて時間の使い方を見直した体験は、『ME TIME』を聴いて実践したことにまとめています。
まとめ
自分を後回しにしてしまうのは、人の役に立ちたい気持ちや、周囲を困らせたくない思いがあるからかもしれません。
その気持ちを否定する必要はありません。ただし、疲れやモヤモヤを無視して引き受け続けると、自分の余裕がなくなります。
頼まれたときは、次の4つを確認してみてください。
● 自分は心身ともに疲れていないか
● 自分の仕事や家庭に支障が出ないか
● 相手も自分で動こうとしているか
● 感謝されなくても自分は納得できるか
すぐに断れるようにならなくても大丈夫です。
まずは返事をする前に、自分の状態を一度確認する。そして今日は、自分がしたかったことのために10分だけ残してみてください。
人を大切にする人の中に、自分自身も入れてよいのです。


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